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人事考課エラー

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2009年12月15日発行:人事考課エラー

【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜
人事考課エラーとは、人事考課を行うに際して、評価者が犯しやすい過ちの総称。中心化傾向(寛大化傾向、厳格化傾向)やハロー効果、期末効果、逆算化傾向などが一般的。

 

経営者や人事担当者は、評価制度を設計・運用するに際し、これらのエラーをいかに排除し、適正な成長を促し、報酬を提供できるよう配慮しなければならない。

【昨今の状況】

12月初旬の今、多くの会社で賞与支給がなされるタイミングを迎えているのではないでしょうか。厳しい経済情勢・経営環境を踏まえ、賞与が支給されないか、支給されても減額される方がかなりの割合で増えているものと思われます。会社としても、業績が悪化している今、コスト削減の一環として賞与に手をつけざるを得ない状況に追い込まれており、優秀な人材を確保する上で頭を悩ませているものと思われます。

 

企業規模が大きくなるほど個人別の賞与支給額の決定に際して人事制度の規制が強くなる傾向にあり、そうした企業の経営者や人事担当者が今最も頭を悩ませることになるのが、この人事考課エラーではないでしょうか。通常、人事考課エラーという場合には、評価を受ける人材の納得感が得られないことや人材育成に役立たないことといった"人材マネジメント"の観点から来る問題意識を指す場合が多いのですが、限られた賞与原資を"望ましい人材"に傾斜配分したい現状からすると、会社側が率先して"厳格化傾向"を誘導するといった人事エラーを勧奨しなければならない状況にあるとも考えられるからです。

 

人事制度へ手を加えずに賞与支給総額を減額させるためによく採用される手段は、評価分布を相対化させることを方針に据え、評価者に対して強制的に厳格な評価を促すというものです。しかしながら、現状求められる賞与支給総額の減額幅は評価の相対化程度では到底追いつかない水準にあると想定され、一部優秀な人材のみ現状水準や高めの水準を維持し、それ以外の人材に対しては相当額の減額を求めることになると思われます。

 

人事考課エラーは、評価制度を"育成ツール"として捉えた場合には中心化傾向や寛大化傾向、厳格化傾向が強く発生しがちで、"報酬決定ツール"として捉えた場合には、ハロー効果や期末効果、逆算化傾向が強く発生しがちですが、上述の想定のように極端な傾斜配分を目指す場合には、管理職・経営陣における"自己保身"効果が強く発揮されがちです。今回の賞与支給に際して、会社内で上層管理職による"自己保身"効果を監督できる第三者や仕組みがあればよいのですが、一般にはこうした事象がそこここで発生してしまっているのではないかと危惧します。こうした事象が起きない会社は、その後の業績改善に向けた組織の一体化も図り易いのではないかと考えております。

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