2009年11月27日発行:消費税
【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜
消費税とは、消費一般に広く負担を求めるという見地から、原則として国内の全ての取引において取引ごとに課税される税金(間接税)のことを言う。
商品や製品が消費者の手に渡るまでに経る、製造、卸、小売りという各段階で次々と上乗せして課税され、最終的には消費者が負担する仕組み。ただし、土地の譲渡や貸付け、債券や株式等の譲渡、商品券やプリペイドカードの売買等については非課税となる。
税率は4%で、消費税の25%(消費税額に換算して1%)の地方消費税がかかるので、これらをあわせて5%の税率となる。消費税の会計処理方法としては、消費税込みの金額で売上や費用を計上する「税込方式」と、仮受消費税及び仮払消費税を区分計上する「税抜方式」の2つの方法がある。
【昨今の状況】
「<マンションに自販機で「税逃れ」 税調が対抗措置検討>政府税制調査会は2010年度税制改正で、マンション経営などに目立つ「税逃れ」への対抗策を検討する。マンションの敷地内に自動販売機を置き、建築費にかかった消費税の還付を受ける手口が横行しており、会計検査院が財務省に改善を求めていた。消費税の控除の仕組みを見直し、税逃れに網をかける。税逃れに使われているのは消費税の「仕入れ税額控除」。事業者の売り上げにかかった税額から、仕入れにかかった税額を差し引く制度だ。2009/11/22 【日本経済新聞】」
ちょうど事業仕分け(ついつい仕訳と書いてしまいそうですが)の記事が新聞紙面を賑わしていますが、無駄遣いの排除という意味では、先日の会計検査院の指摘の一つにあった上記の自販機による消費税の「税逃れ」も注目されています。この指摘を受けて、上記の記事にあるように、税制改正案にこれらの「税逃れ」の防止が盛り込まれることが検討されています。
昨今の税実務では、消費税の徴税効果をあげるための課税庁側の強い姿勢が感じられるようになってきています。これらを消費税率の引き上げの布石と見る向きもありますが、諸外国に比べても優遇されている消費税の免税制度を悪用したもの(新設2年間は免税となる場合があることを利用したものなど)や雇用契約を請負契約に偽装して還付を受けるような脱税は、税の公平性の観点から大きな問題があるといえます。一方、今回問題となっている自販機での「税逃れ」は、わずかの課税売上を発生させて、本来は払ったままとなってしまう住宅賃貸用のマンションの消費税を取り戻すものであり、このようなケースすべてが「税逃れ」とはいえないケースもあります(例えば、一部課税売上となる個人事業がある場合など)。特に、住宅賃貸用のマンションについては、これを売った側(不動産会社等)は消費税を納付する場合もある一方で、支払った側はそれを控除できず、取引全体でみると税の支払超過となっているケースもあります。
そもそも、このような「税逃れ」の発生は、住宅の貸付(賃貸)は本質的には課税取引であるところ、「政策的に」非課税とされているため、そのひずみが利用されてしまうことに起因しています(当然ながら、ひずみがあるということは、一方では払いすぎも少なからず生じています)。住宅の賃貸は生活の根本であるため、これに課税すべきという方向性の議論にはなりにくいものと思われますが、自販機による「税逃れ」をふさいだとしても、このような課税のひずみを利用した方策は違う形でまた発生してしまい、そのいたちごっこは今後も続いてしまうと思われます。したがって、税率の引き上げの要否などの議論だけでなく、消費税の課税のあり方に関する根本的な議論も必要と考えられます。