2009年10月14日発行:セグメント情報
【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜
セグメント情報とは、事業、商品(群)、顧客(層)、チャネル、地域などの切り口(セグメント)ごとに集計した損益情報等のこと。「セグメント情報の開示に関する意見書」により、有価証券報告書の作成上、以下の3つのセグメント情報について開示が義務づけられている。なお、当該開示セグメント情報は、連結ベースで作成される。
1)事業の種類別セグメント情報
2)所在地別セグメント情報
3)海外売上高
【昨今の状況】
上場企業では、昭和63年5月に公表された「セグメント情報の開示に関する意見書」、「セグメント情報の開示基準」及びその後の連結財務諸表規則により、事業の種類別、所在地別セグメント情報と海外売上高を開示しています。これらのセグメント情報について、平成20年3月及び平成21年3月に会計基準の改正が行われており、平成22年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度から新基準を適用することとされています。
上記の改正は、大企業の一部で単一セグメント、もしくは重要性が低いとの理由でセグメント情報が開示されていないことが問題視されたことと、国際会計基準(IFRS)との間での国際的なコンバージェンスに向けた共同プロジェクトの中で検討項目とされたことを受けてのものです。
3月決算の上場企業では来期から適用されますが、適用した場合は原則として前年度のセグメント情報を新基準で作成して開示することとなっているため、今期から、変更した場合の情報を収集している企業もあるのではないかと思われます。
改正点のうち最も重要な点は、マネジメント・アプローチの採用だと思われますが、マネジメント・アプローチとは、企業の「最高経営意思決定機関」が事業を評価し、リソースを配分する単位を事業セグメントとし、この事業セグメントに関する情報を開示することをいいます。「最高経営意思決定機関」は取締役会やCEOなどが想定されているようですが、これらの意思決定者が意思決定をするに当たって報告される情報を、財務諸表利用者にも開示するということになります。
この点については、競合他社や取引先も開示された情報を利用することができることなどから事業上の障害が公開草案時点でコメントされたようですが、最終的にはマネジメント・アプローチに基づく情報を開示することとなりました。
現時点では、新会計基準を早期適用した結果、従来のセグメント情報とは大幅に異なる(詳細な)セグメントを設定して開示した例はあまりないようですが、今後は企業の事業内容及び業績が外部からも分かりやすくなり、財務諸表利用者にとっては利用価値が高まるものと思われます。また、新基準では、企業側がどこまで開示するかの判断を委ねられている点が多いのも特徴で、経営者の企業情報の開示に係る姿勢が判断できるようになる可能性もあり、今後の適用及び開示が期待されるところです。